6月13日
テキサス大学 ジョン・グリフィン教授の論文
"Is Bitcoin Really Un-Tethered?“
ビットコインは非テザーか?
昨年のビットコイン急騰は業界内でも疑いの目が注がれていた。
その対象は、大手仮想通貨取引所「ビットフィネックス」だ。この取引所は世界最大級の取引量を誇るが、カリブ海諸国で登記され、香港を拠点としているため、あまり規制を受けていない。マスコミでこの疑惑が報じられた後、米規制当局はビットフィネックスに召喚状を送って調査を開始した。
グリフィンはビットフィネックスで売買されるデジタルトークンの流れを観察し、何者かがビットコインの価格を押し上げたことを示す明らかなパターンの特定に成功。価格操作は、ビットフィネックスと同じ経営母体が運営・発行する「テザー」という仮想通貨で他の通貨を買うという形で行われたという。
「昨年は明らかに驚異的な価格急騰が何度かあった。この論文は、そうした機会に、価格操作が大きな役割を果たしたことを示している」と、グリフィンは語った。
テザーがどのように発行されたかについて公開された情報はほとんどないが、各コインは銀行に預けられた米1ドルの価値に裏付けられるため、基本的に1ドル前後で取引される。仮想通貨投資家にとってビットコインの時々起こる暴落から逃れる際に、テザーは安定した避難所として機能してきた。
もちろん、ビットフィネックス側は関与を否定。
グリフィンは、分散型台帳ブロックチェーンの解析を行った。
そして、あるパターンを見つけた。
テザー発行で価格押し上げ
ロンドン大学のサラ・メイクルジョン教授は、この種のパターンを初めて発見した人物だが、この論文を検討した上で、分析が「しっかりしている」と評価した。
ビットコイン取引調査会社「チェーンアリシス」のチーフエコノミスト、フィリップ・グラドウェルもこの研究を「信憑(しんぴょう)性が高い」とみる。ただしパターンを完全に理解するにはより多くの分析が必要だと指摘する。
彼は、他の金融詐欺に対しての論文も発表している。また、金融市場調査に対してのコンサルティング会社も所有している。
仮想通貨市場における価格操作を特定した学術的研究はこの論文が初めてではない。昨年、イスラエルとアメリカの研究者チームが発表した論文によると、2013年のビットコインの大幅な価格上昇の大半は、当時最大の取引所だったマウントゴックスの価格操作によるものだった。
そのパターンとは
実はテザー自体の「ドルとの裏付け」(テザー社の保有する米ドルの総額が、テザーの発行数との合致)がハッタリでないのか。という疑惑があった。
さらに、「もし、テザー社が裏付けとなる米ドルを保有していなかったら、自由にテザーを発行できることとなり、事実上BTCを買い漁ることが可能である。」という指摘がなされている。理論上可能なその指摘とともに、BTC急騰時期と、テザー発行時期が合致しているというレポートも匿名で出ている。
つまり、
デザーが1発行するたびに、米ドルも1ドル裏付けとして保管されることが前提。
今回の論文では、昨年起きた価格上昇のうち、半分以上が『BTC価格が急落すると、テザーが新規発行され、BTCが上昇する』という相関関係が認められたとしている。
もちろん、この論文がビットフィネックスの価格操作を完全に暴くものではないが、専門家の間では幾度となく使われ役立った手法であるためその確度が高いものと評価されている。
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